絶壁落下!ヒナの大冒険 カンムリウミスズメ


大きな地図で見る
九州宮崎県の3kmは沖にある枇榔島(びろうじま)。
1400万年前の火山活動が作り出した荒々しい地形の、
周囲1.5kmの無人島で、50mにもなる断崖に囲まれている。


カンムリウミスズメは世界でも数千羽しか生息せず、
絶滅が心配されている海鳥。
飛ぶのは苦手、水面をすばやく泳ぐ。
ペンギンのように水中で狩をするため、
水中で泳ぐ速度は非常に速い。
普段何をしているのかよくわかっていないが、
年に一回だけ産卵のために上陸する。



枇榔島にはヒナや卵を狙うヘビやネズミがいないので、
営巣するには都合が良い場所。
昼はハヤブサなどがいるため、夜に島に上陸する。
岩の陰に巣を作り、卵を普通2個産む。


抱卵は夫婦で2日交代で行う。
交代の時には3時間も鳴き交わす事もある。
1ヶ月間抱卵する。


孵化の翌日の夜、えさも一切食べず、
飛ぶこともできないうちに巣立つ。

一目散に海へと向かう。
ヒナは飛べないため、崖から転がり落ちる。
10mもある段差から落ちても死ぬヒナはほとんどない。
15gと軽量で、フカフカの羽毛で衝撃を吸収してくれるらしい。
見た目は痛々しいけど・・・。


運が悪いと、四方を壁に囲まれた窪みにはまって抜け出せなくなったり
岩陰に潜むカニに食べられたりして死んでしまう。
巣を出てから1時間ほど、親の鳴き声を頼りに海にたどり着く。

ペンギン

飛べないオオウミガラス(ウミスズメ科)がペンギンと呼ばれていた。
南半球でそっくりの鳥が見つかり、それもペンギンと呼ぶようになったが、
元祖ペンギンであるオオウミガラスが絶滅。
いまペンギンと呼ばれているものが、そのままペンギンになった。
分類的にはまったく別の生き物だが、
生活スタイルが似ていると、姿も似てくる・・・ふしぎ!