アホウドリただいま復活中!

伊豆諸島の八丈島から300km離れたところに鳥島がある。
海底の火山が噴火してできた直径2.5kmほどの島で、
世界に2カ所しかないアホウドリの繁殖地のうちの一つ。*1

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アホウドリの繁殖を観察できる希少な島なので、
環境省の委託で17年間研究している、
山階鳥類研究所の佐藤文男さんひきいる
アホウドリ研究チームが観察しに来ている。
国の天然記念物で、北半球で最大の海鳥。
翼を広げると2.5mもある。
風にのって、一週間で数百キロ飛べる。
10月から5月の繁殖期だけ島にやってくる。
世界に2000羽ほどしか生息しておらず、
大部分が鳥島の燕崎で子育てする。


1930年、鳥島には数10万羽のアホウドリがいた。

島一面が白くなり、雪が積もったようだという話があるほど。
しかし、羽毛目当てに乱獲されて、1949年に絶滅宣言がだされた。
1951年、わずかに生き残ったアホウドリ
人間が入り込めない危険な燕崎で繁殖しているのが確認される。
燕崎は急斜面で土砂崩れや滑落の危険性があり、繁殖地としては問題がある。
1997年から、なだらかな斜面で1930年頃は最大の繁殖地だった初寝崎に、
デコイと鳴き声のテープでアホウドリを呼び寄せる試みが始まった。


大人は毎年同じ繁殖地で繁殖するので、
いかに若鳥を呼び寄せるかが重要。
あまりにもデコイにひきつけられて、9年間もデコイに求愛した*2元若鳥も。
4年目で、初寝崎での初の繁殖が確認された。
その後も順調に数を伸ばしているので、2006年にデコイは取り払われた。


生まれて一月ほどの雛でも5kgもある大物。
イカや魚を半分消化した形で与える。
土に草を混ぜて丈夫な巣をつくる。

巣立って2〜3年は海で過ごす。
その後は繁殖地にやってくるようになる。
若鳥は雛や卵が好き。
孵化しなかった卵で子育ての練習する。


鳥島は、日本でももっとも活発な活火山。
火山活動によってアホウドリが大きく数を減らしてしまわないよう対策を講じている。
雛を鳥島の東南350kmにある聟島(むこじま)に
特殊な箱に入れてヘリコプターで輸送。

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聟島で人工飼育して育てようというもの。
種全体でみれば、種の保存の可能性が高まっていいんだろうけど、複雑だ。

*1:もう一カ所は尖閣諸島

*2:デコちゃん。フィギュア趣味は卒業し、ちゃんとリアルメスと繁殖した。