大発見!農業する魚


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石垣島西表島にはさまれたサンゴ礁の海。
400種類以上の魚が生息している。
500m沖合いでも水深2mの遠浅になっている。
こういったサンゴの海に、農業をする魚ことクロソラスズメダイが住んでいる。


クロソラスズメダイは体長14cmほど。寿命は20年ぐらい。
サンゴの表面にイトグサの一種*1を育て、それを食べて生活している。
管理しているイトグサ畑は50cm四方の大きさで、
成長し、畑を持ってからは、一日のほとんどをイトグサの世話に費やす。


このイトグサはやわらかくて消化しやすく、おいしいらしい。
狙ってやってくる他の魚を追い払うったり、
ヒトデ・ウニなどの海底を伝って進入してくる者も、
銜えて畑の外に運び出す。
雑草というか他の種類の藻を抜いて農場の外に捨てる。


クロソラスズメダイは100万年畑作を続けてきたと考えられており、
このイトグサと共生関係にある。
クロソラスズメダイの消化機能が弱まり、このイトグサしか食べられず、
また、このイトグサもクロソラスズメダイがいないと、生存できない。
クロソラスズメダイから隔離すると、2週間後には他のイトグサに取って代わられる。


撮影されたものは、15匹がサンゴの塊の上で生活していた。
自分の畑をもっており、一度畑にしたら、場所はほとんど変わらず生活する。
さながら村のよう。


繁殖期のオスは、興奮すると模様が一瞬で替わる

卵はイトグサの根元に絡ませるように産む。
卵の直径は0.8mmで一年で1000万個産卵するが、
産卵から5日で孵化し、生き残るのはわずか1〜2匹。
まあ、指数関数的に増殖されても困るし、しょうがないですね。


生後1年は動物プランクトンを食べて外洋ですごす。
インド洋から太平洋西部の浅いサンゴ礁
たどり着いたら、他のスズメダイの畑の近くで居候。
畑に石を置くとわずか一日でイトグサが生えてきて、
一週間でフサフサになる。
居候先の畑の周辺部の雑草を抜き、手入れをして、
少しずつ畑を広げて、自分の畑にしていくものと考えられている。


スーパーイトグサの名前が決まったかな?と思って調べたんですが、見当たらないです。
この共生関係について研究しているのが現在近畿大学農学部水産学科講師の畑 啓生さんです。
インド−太平洋の栽培共生
screenshot

*1:放送時点でまだ名前がついていない状態で、スーパーイトグサと呼称されていました。