おみごと!石に化けた魚 アユカケ


紀伊半島南部和歌山県の熊野の古座川。
ダムや堰がほとんどなく、豊かな川で、60種近い魚が暮らしている。
ところがアユカケがなかなか見つからない。

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撮影場所を古座川の景勝地の一つである滝の拝(たきのはい)に移動。
落差7mの断崖に滝が流れる。
この滝を越えようとして、たくさんのアユが滝つぼに集まってくる。
多い時8畳ほどの滝壺に1000匹ほど集まってくる。
アユカケはアユが好物なので、このあたりには多くいるのではないかとのこと。


アユカケはカジカの仲間で20cmほど。
日本にしかいない珍しい魚。
石そっくりの大きな丸い頭に
コケを食べるアユやスジエビなどがだまされる。
3本の黒い縞模様で横から見ても石のよう。

場所によって体色も変えられる。

アユが近くに来るとえらぶたの動きを止め息を殺す。
今回の撮影で25秒も止める様子が観察された。


マグロのような泳ぎっぱなしのものは、開きっぱなしの口から
水を取り入れられるのでえらぶたをうごかさないが、
アユカケのようなじっとうごかない魚でえらぶたをうごかさないのは、
呼吸を我慢しているか、何か特別な仕組みがあるからだそうです。


冬は産卵のために
20km下った河口域にやってくる。
河口の岩陰の天井に産卵

オスが一匹で卵の番をする。
一か月間、ほぼ何も食べずにひれで新鮮な水を送り続ける。


孵化すると、海でプランクトンを食べて成長。
春、2cmぐらいに成長して川に帰ってくる。

孵化を見守ったオスは石のような丸みと体色を変える力を失っている。
餌をとって少しずつ回復し、また次の産卵期に備える。

アユカケ 名前の由来

頬の横にとげがあり、
この棘でアユを引っ掛けるという言い伝えから名前がついた。

とはいえ、毎日のように川にきている人でも、
70年間で数回しか目撃できないようなレアなものだそうで。
アユをひっかけるとクルクル回るんだか、回ってしまうんだか、
目撃した人はみな「回る」って言ってました。
たぶん、偶発的に引っかかってしまうのではないかとのこと。
釣りキチ三平にはとげで引っかけるコマがあるが、
矢口高雄さんはアユカケそのものを見たことがないそうですw

古座川

伝統の漁

火振り漁

火でおい、あらかじめ張っておいた網に追い込む
期間限定 観光火振り漁

笹立て漁


見慣れない笹を警戒しているアユを投網で取る。
古座川 笹立て漁


screenshot

あぶり鮎

火であぶり、5日ほど軒先で干す
冬場の保存食


見どころ

植魚の滝

1400万年前に隆起して浸食を受けてこの形になった一枚岩。
国の天然記念物で高さは100m幅は500m