豪快!ムツゴロウ空中戦


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九州の有明海は長崎・佐賀・福岡・熊本の各県に面した内海。
干満の差が6mもあり、日本最大の干潟面積*1を持つ。
潮干狩りが出来るような干潟とは異なり、
阿蘇山などの火山灰由来の泥が20mも堆積しており、
底なし沼のようになっている。


ムツゴロウの皮膚の厚さはわずか0.2mm。
粒子の粗い泥では皮膚が傷つき弱ってしまうが、
有明海の泥の粒子は5μm程度と細かく、ムツゴロウが生息しやすい環境。
干潮になると巣穴から姿を現し、泥に残された植物プランクトンである珪藻を
泥ごと口に含んで漉しとって食べる。
陸上では皮膚呼吸と、ほっぺたに貯えた水でエラ呼吸を行う。
皮膚が乾燥しないように、コロッと転がって泥をつける。


移動は胸びれを足のように使って移動する。
胸びれには関節が余計にあり、移動しやすくなっている。

まぶしくないように、瞳がイルカのようにU字型になっている。

直径1mほどのなわばりを持っており、縄張りを誇示するためにジャンプする。


7月はムツゴロウの繁殖期。
オスは、縄張りに他の生き物が入ってくると背びれを立てて威嚇する。
特に他のオスが入ってくると力づくで追い払う。
口をあけて威嚇し、飛びつき噛み付いて攻撃する。
縄張り争いで命を落とすものも・・・


ムツゴロウがどのような子育てを行っているのか調べている
竹垣毅さん(長崎大学水産学部助手)によって巣穴が顕に。
普段は深さ1mほどの縦穴で生活しているが、
繁殖期になると、オスは深さ30cmほどのところに産卵室を作る。

メスは産卵室の天井に卵を産み付ける。
大きさは1mmほど。およそ2000個を産み付ける。

泥の中は酸素が少なくなるので、
オスがほっぺに貯めた空気を運んで産卵室を空気を満たし、
酸素が卵にいきわたるようにする。
孵化直前になると、孵化を促すため、
巣穴の空気を外に運び出すという逆の行動も行う。

*1:約1700平方km