幻の魚 アユモドキ 


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岡山市の繁華街から5kmほどしか離れていない高島地区。
江戸時代に整備された祇園用水が縦横に走っている。

300年前と同じ石積みの壁と砂や小石の川底が
天然記念物のアユモドキに適している。
アユモドキは祇園用水の源流である旭川と近くの吉井川、
京都の大堰川の流域の一部にしかいない大変貴重な淡水魚。

5年ほどかけて大きく成長すると鮎っぽくなるが、
若いうちは特徴ある縞模様が鮮やかで、
ひげが6本あるドジョウの仲間。
イトミミズなどを食べている。


祇園用水は川底が砂地のため、水草が繁茂する。
夏場には月に一度町全体で水草の刈り取りと清掃を行い、整備している。
梅雨の時期になると祇園用水が増水して、
休耕田が冠水、水深40cmぐらいになる。
草むらに産卵するため、アユモドキが休耕田を目指す。
産卵から僅か24時間で孵化。
稚魚は水面に向かって泳ぎ、草に粘液で固定?ぶら下がる?

わざわざ休耕田で産卵するのは、
休耕田に眠っていた微生物が冠水で目覚め、
豊富に餌がある環境で稚魚が成長できるため。
しかし、微生物が大量に発生するため*1
水深の深い場所の水中酸素濃度が低くなってしまう。
そのため、生まれたら一目散に水面に向かって泳ぐと考えられている。
また期間限定の水場のため、稚魚の天敵がほとんど寄り付かず、安全である。

淡水魚の天然記念物


アユモドキの他、
イタセンパラ、ミヤコタナゴ、ネコギギの計4種のみ。

*1:同じ微生物の大量発生であるアオコや赤潮を思い出していただくといいかも。アオコや赤潮だと酸欠だけでなく、産生した毒素による影響もあるけど。