ディスプレイの省電力化

現在ぐらいの情報技術の段階では、新しいアイディアを得たり、物事を決定するには、
やはり人間が人間と会って直接意思疎通する必要性を感じている人が多いでしょう。
直接会わなくってもいい部分での情報のやり取りが促進されてしまったため、
企画を立案し、さらに決定を下すような立場にある人は、
直接会わなくっていい部分の人の仕事を作るためにも、
より忙しく動き回る必要が出てきてしまった。


こういう人たちの助けになるはずのモバイル機器は、
駆動時間と要求される性能の間でもがいているような印象を受ける。
結局のところ、利用者に負担を強いている。


モバイル機器の駆動時間を増やすために、燃料電池など容量の大きい電源を開発する以外に、
電力を大量に消費するデバイスの消費電力を減らす技術の研究も行われている。
ディスプレイは消費電力の大きいデバイスのひとつであり、
プロセッサのように性能の向上が直接的に消費電力の低減*1を伴わない。
むしろ消費電力の増大*2を招きがちであるため、消費電力を抑える新しい技術によるブレイクスルーが必要なのだ。
とりあえずはサブディスプレイなどに用いられるだろうけど、
そのうちメインにも使われるかもしれない技術が、ぱぱっと2つ、目に入ったので紹介。

水と油の反発を利用したカラー表示技術--鮮明な色再現が可能に - CNET Japan

http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20102247,00.htm


Philips ResearchとNew Venture Partnersが共同で設立したベンチャー企業Liquavistaが、携帯電話やMP3プレーヤーのディスプレイ用に、「electrowetting」という技術を開発。
この技術では、着色された油と水、そして電圧をかけると疎水性から親水性に変わる基板を用いたレイヤで構成された、ピクセルを用いている。
レイヤが疎水性のとき、水は反発してレイヤから離れ、油を表面に押しひろげられる。このとき、油に混ざっている染料の色が映し出される。反対に親水モードの状態では、水がレイヤの表面に移動し、着色された油は横へ追いやられて、ピクセルから映し出される色が変化する。
タコやイカが体表の色素の大きさを変えて、体の色を多様に変えるのに似た方法だ。
この変化をすばやく行うことで、何百万というピクセルで構成されたディスプレイが画像を表示する。
消費電力に関しても、実験段階では、液晶パネル(LCD)や有機発光ダイオード(OLED)よりも、electrowetting技術によるディスプレイのほうが少なくてすむ。
製造面でも、electrowetting技術を用いたディスプレイは、既存のインフラを転用でき、LG.Philips LCDが所有しているような既存の製造施設を利用することが可能なため、この新技術を使ったディスプレイは予想外に早く、また低価格で市場に登場しそうだとのこと。

電力なしで表示を保持する液晶が登場

http://slashdot.jp/articles/06/04/17/0127233.shtml

電源を切っても表示が維持される、メモリー性機能を持った液晶ディスプレイであり、画像の書き込み時以外には電力を必要としないため、従来の液晶と比べて約1/50という低消費電力を実現している。また、表示方式にはパッシブマトリックス方式を採用し、細密な画像形成が可能なので、電子棚札や各種メータなどの液晶表示部、携帯電話のサブ液晶ディスプレイ、電子ブックや電子ペーパーの表示部など、低消費電力が要求されるあらゆる液晶表示部としての利用が期待されている。ImpressケータイWatchでも紹介されており、シチズンの時計に採用が決まったとのこと。


(´-`).。oO(モバイル機器の低消費電力化が進むと、パワーソースの最終形態は、人体なんじゃないかな・・・。人間は大体100W*3ぐらい。ちょっと管をぶっさして、体内の糖かなんかを水素源にできるんじゃないだろうか?一割ぐらい、約10Wのエネルギーをモバイル機器の駆動用に使えると便利。危険な有機物を持ち運ばなくっても、外部リザーブとして、食べ物を持ち歩けばいいわけだしwww)

*1:プロセスの微細化によってリーク電流が増加し、旧世代プロセスで作られたプロセッサに比べて消費電力が増大してしまったプロセッサもありましたが。

*2:大画面、高輝度、ピクセル数の増大に伴う計算量の増加

*3:100(W)\times (60\times60\times\24)(s)=8640(kJ)=2057(kcal)≒一日の消費カロリー