ベンガルトラ

耳にある白いのは仲間への目印

今回の観察対象は、インドの北、パキスタンよりのところ、
ニューデリーの南400kmほどのところにある、
ラジャスタン州・ランタンボール国立公園に住むベンガルトラ
ランタンボール国立公園は、
10世紀に建造された要塞の遺跡と自然が共存する素晴らしい空間で、
トラを間近で見ることができるようです。
車で追跡しても、「がー」っていうだけで、ウザそうにするけど、
襲い掛かってきたり、逃げたりしないみたい。


この地域は、一年のうち3/4は乾季で、日中は50℃を越すそうです。
そのため、乾燥から身を守るため、樹木は冬枯れではなく、乾季枯れします。


今回のガイドは動物カメラマン、コリン・スタフォード・ジョンソンさん。
ここでトラを追って6年にもなるそうです。
サンダル履きで活動していたり、トラのマーキング臭をうれしそうに嗅いだりするなど、
かなりのつわものです。

ベンガルトラは足が遅いため、待ち伏せして、獲物に気づかれる前に仕掛けないと狩りになりません。
成功率は、5%程度。
それでも昔は、中国からインドにかけて、かなりのトラが居たそうです。
豊かな自然が想像できますね。


50℃にもなるため、狩りの後は水に浸かり体を冷ます。
アムールトラのときもだけど、水に入るときには、後ろ足から入るのがカワユス


巧く狩れたら獲物を食べるわけですが、
まず母トラが食べ、次に、子トラ。でも、トラの子供は順位がある。
母トラの乳首には、乳の出が良い物と悪いものがあり、
最初に奪い合いをして、自分の乳首を決める。
出の良い物をGet出来た子トラがたっぷり栄養を摂取でき、高順位になる。
母親は、高順位のものから優先的に餌を与える。
一匹は確実に育てたいという考えのようです。


トラの模様は一匹ずつ異なり、乾季の森の中で、とてもよい目くらましになる。
でも、トラ同士も目くらまされてしまうようで、
耳の後ろに白い斑紋があり、これが仲間や子供たちへの目印になる。


子持ちのメスは発情しないけど、
子を殺してしまえば、雌は発情する。
交尾するためにオスに殺される子トラが多く、
子トラの死因の上位になる。
この手の殺戮はイルカとかもやるよね。ガクガクブルブル


雌トラは、縄張りを受け継いでいく。
マッチェリと言う人間にすると40歳ぐらいの母トラが持つ、湖の近くの縄張りでは、
代々しかを湖の深みに追い込んで、狩りをする*1スキルが
伝承されてきた。
マッチェリが覚える前に、スキルを持ったトラが密猟されてしまったため、
マッチェリはトラ縞が目立ってしまう、水辺の開けた所で狩りをしなければいけなくなってしまった。
水辺には、たくさんの草食動物が集まっているため、
どれか一頭がトラを発見すると、警戒音を上げ、皆が逃げてしまう。
しかし、マッチェリは新しい狩りの手法を編み出す。
一年中子供を海育てるアクシスシカと言う鹿の仲間の子供が、
草むらでじっと隠れていることがあるため、
茂みの中をうろうろするだけで、小鹿を捕まえることができるというもの。
子供の教育には良くなさそうな気がするがw


森林伐採やトラ猟で、20世紀初頭には生息範囲が激減し、2000頭にまで減ってしまったが、
プロジェクト・タイガーという保護活動によって、4000頭程度にまで増えた。
しかし、皮は敷物に、骨は漢方薬にと高く売れるため再び密漁が盛んになってきていて、
トラの状況は楽観できないようです。


番組の最後では、子育てにかかわらないと思われていた父親が定期的に家族を尋ね、
子トラが父親とじゃれ付いたり甘えたりしていました。
どうも定期的に音連れることで、他のオスから家族を守っているようです。


猛禽の仲間で、2年ぐらい群れ全体で子供を教育するのが居たけど、
肉食のものは、スキルの伝承の必要性が高いから、
家族や群れの絆が強くないと生き残れないのかもしれませんね。


じゃれたり甘えたりするトラだけでなく、
イノシシが突進していたり、
鳥が鹿の耳に乗っかっていたり、
背景に遺跡が写っていたり、
ひょっこり孔雀が歩いていたり、
見ていてとっても楽しい回でした。

*1:1980年代に撮影された映像が放送されてたけど、すごいかっこいい!!