荒川化学、光硬化の有機−無機ハイブリッド材料開発

荒川化学工業は9日、大阪市立工業研究所の松川公洋博士と共同で、光硬化性の有機−無機ハイブリッド技術を開発したと発表した。同技術は硬化後の収縮が少ない光硬化型のエン−チオール反応を用いることで、ハイブリッド材料の寸法安定性や厚膜化を可能にしたのが特徴。同社では来年2月をめどに同材料のサンプルワークを開始する予定で、液晶ディスプレーなどに使用されるガラス板やプラスチック板のコーティング剤、液晶パネルのシール剤といった幅広い用途での採用を見込んでいる。

エン−チオール反応ってゴムの加硫のような反応なんですかね。ジチオールを加えて、架橋させるってことなんでしょうかね。ゴムの加硫と違って、官能基が全部反応するように混合するのだと思いますが。
無機のほうの記述がないのと、どんなハイブリッドなのかわかんないけど、光硬化なので気になります。

2006年3月17日追記

「エン−チオール反応」で検索して飛んでくる方が結構いらっしゃるのでちょっと調べてみました。

・エン・チオール反応を利用した有機―無機ハイブリッド材料 1PC28  荒川化学 福田 猛ら(共同研究 大阪市工技研)   t.fukuda@arakawachem.co.jp

チオールとオレフィンとに光照射することで起こるエン・チオール反応は,光重合開始剤を用いなくとも反応が可能であり,酸素阻害を受けない,硬化収縮が少ないなどの特徴ある。最近研究開発が盛んであるが,ここでは有機-無機ハイブリッドへの応用を紹介。3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1を加水分解して得たチオール基を持つシルセスキオキサン様縮合物と,多官能アリレートを反応させて得られる有機・無機ハイブリッド材料を紹介。高い屈折率と高い鉛筆硬度を持つ膜が得られる。
 なお,同社の資料では次のようなことを述べている。この有機-無機ハイブリッド技術は、硬化時に揮発成分の発生することが無いシリカ(シルセスキオキサン)を無機成分とし、さらに硬化後の収縮が少ない光硬化型のエン-チオール反応を適用、そしてこれらに最適な架橋性樹脂を有機成分として組み合わせることで、厚膜にすることが可能なうえに硬化収縮の非常に少ない寸法安定性に優れたものになっている。同社の有機無機ハイブリッド材料である「コンポセラン」の従来持っていた高耐熱性、高い耐溶剤性などの特長に加えて、硬化物の寸法安定性や厚膜化が可能となったことより、液晶ディスプレイなどに使用されるガラス板やプラスチック板の機能性コーティング剤や液晶パネルのシール剤として、その他にも従来のプラスチックレンズや透明基板の代替など、広範囲にわたる用途への応用が期待される。

とりあえず、荒川化学の中の人の発表の要旨はこんな感じです。
エンチオール(チオールエン)反応については、塗料用エネルギー線硬化樹脂技術の現状と最新トピックス(PDF)のp.8に書いてあります。
ちょっとわからないのは、「多官能アリレート」です。
「アリレート」でググると、アリーレートっぽいものがいっぱい出てくる。
アリレートというのは、アリルではなくアリールで、
多官能の官能がオレフィンなのかな?