火山が巨大グマを育てる
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カムチャツカ半島は日本の面積の1.3倍もある大きな半島。
”カムチャツカ”とは先住民の言葉で”火の国”という意味。
その名のとおり、2000個の火山がある。これは日本の20倍。
この火山群は世界遺産に指定されている。
カムチャツカにはヒグマが沢山住んでいる。
火山の近くは地熱のおかげで早くから緑が生い茂り、
何も食べられない冬篭り明けのヒグマは、
ヨモギなどの草をもりもり食べる。
カムチャツカ半島東側の太平洋に面した川で
サケ・マスの遡上が始まると熊が川に集まってくる。
水中で目を開き、狙いをつけて魚に噛み付いて狩る。
一日で20kgものサケ・マスを食べる者もいる。
遡上開始 | 種類 |
---|---|
5月 | カラフトマス(カムチャツカ全体で50万匹) |
5月 | マスノスケ(1.5m) |
5月下旬 | サクラマス |
6月 | ベニザケ |
6月 | シロザケ |
8月 | スチールヘッドトラウト(ニジマス) |
8月 | ギンザケ |
カムチャツカの1万4千本の川には、
太平洋のサケ・マスの実に1/4が遡上してくる。
この飛びぬけた量は、火山と関係がある。
火山灰の中にリンが含まれており、植物プランクトンが増殖。
稚魚の餌が豊富になり、生存率が相対的に高まるため、
カムチャツカで生まれた=帰ってくるサケ・マスの比率が高まる。
日本では遡上が多い知床でも3種類しかない。
ロシア人ヒグマ研究家ビターリ・ニコラエンコさんが撮影した映像には、
オスのヒグマが子供を食べる衝撃的な場面が移っている。
小熊がいる限りメスが発情しないから、襲って食べてしまうのだそうだ。
この手の動物は結構多いね・・・
小熊は自分ではサケマスを捕まえられないので、
コケモモ・ナナカマドなどの実を食べる。
冬になるに従い、熊は川の上流に行き、火山の麓の林に行く。
冬ごもり用の巣穴は奥行き5m幅7mと結構広い。
外は氷点下だが、穴の中は10℃にもなる。
火山の地熱で暖かい場所を選んで巣穴を作る。
冬眠前の熊は腹周りの肉付きがすごい。
丸々と肥えている。
火山のおかげで川の水が凍らない。
この間はサケ・マスが遡上してくる。
遡上してくる間は冬篭りしなくてよい。
春も植物が早くから生い茂るため、
より低緯度の北海道に棲む羆に比べても
2ヶ月以上冬篭りが短くてすむ。
体力を消耗する冬篭りが短くて棲むため、
カムチャツカのヒグマは大きく育つ。