量産性に優れたフレキシブル太陽電池でお金を集めた新興企業

創設からほんの数年しかたっていない新興企業、Nanosolarが、シャープといった多国籍企業に挑む壮大な太陽電池製造計画を打ち出した。
Nanosolarは米国時間6月21日、太陽電池の大量生産を開始するための資金を獲得したことを明らかにした。
計画によるとNanosolarは、カリフォルニア州に製造施設を建設し、いずれは年間430メガワット分の太陽電池セルを生産する。同社はカリフォルニアで製造した太陽電池セルをソーラーパネルに組み込む工場をドイツに作るという。
Nanosolarは、太陽電池セルを硬いシリコンから作るのでなく、CIGS(銅、インジウムガリウム、セレン)系半導体材料を薄膜に組み込む方法を考案した。最終的には、ソーラーパネルは、標準的なシリコン系ソーラーパネルの5分の1のコストで製造できるようになり、工場の生産能力の拡大も容易になると、Nanosolarは述べている。
NanosolarはCIGS太陽電池セルを標準的なタイプに近いソーラーパネルに組み込み、ソーラーファーム施設向けに販売する。
このような急速な拡大を支えているのは、Nanosolarに資金を注ぎ込んでいる数々の投資家たちだ。
この2年間、石油と電力の価格が高騰する中で、投資家たちが代替エネルギー企業に集まるようになった。
急激な増加で、2004年に始まったシリコンパネルの供給不足は2007年まで続きそうだ。建設業界でも、ソーラーパネルを取り付けた新築住宅の建設を始めている。シリコンはソーラーパネルにとって理想的な素材ではないという。
太陽電池のメーカーでさえ認めている。シリコン製のソーラーパネルは、理論的にはパネルにあたる太陽光の最大約30%を電力に変換できる。実際のところ、市販の太陽電池は太陽光の10%から20%ほどしか電力に変換できていない。
Sharp Electronicsでソーラーシステムのゼネラルマネージャーを務めるRon Kenedi氏によると、太陽光から1キロワットの電力を生成するのにコストはおよそ35セントになるが、通常の電力網から得られる電力は1キロワットあたり25セントだという。ヨーロッパ、それに政府が、ソーラーシステムの設置費用を補助しているのはこのためだ。
シートだからこそ、様々な種類の面に貼り付けることができるし、屋根のタイルや建物の窓ガラスに直接組み込むことも可能となるからだ。薄膜タイプの太陽電池で成功したものはないが、CIGS系薄膜を支持する人々は、これまでのものより耐久性にいると主張する。
シリコン系の太陽電池メーカー側はこの動きに異を唱えており、数カ月前からにわかに、シリコン陣営とCIGS陣営の間で激しい競争が始まっている。
Nanosolarは現在はパイロット施設で製造している段階だが、2007年には新たな工場を建設して太陽電池セルの製造を開始する予定だという。
新工場は最終的には年間430メガワットの電力を生産することになるが、初期段階ではそこまでの能力はないという。
この1年Nanosolarは、IBMと日立のハードディスクドライブ部門を担当していた製造担当の幹部を数名採用し始めている。