ふさおとめ・・・

米の早期出荷傾向強まる減反強化、価格低下へ影響も
私は消費者なので、台風の影響がどうかとか、安くておいしいとか、マスコットキャラが可愛いとかって話ばかりでした。しかし、生産者の方々は、難しい問題を抱えているようです。

◆個別経営と米農家全体との矛盾

 個別農家としての有利性があるために変化が起きているのは今見たとうりで、むしろ当然の動きとも言えよう。しかしこれには、注意しなければならない点がある。
 それは、減反の強化につながる要素を持っているということである。何故かと言えば、こしひかりと比べて反平均60kg収量が多いので、栽培面積が一定とすると、増産したことになるからである。この点は特に、こしひかりからふさおとめへの転換が進む時に問題となる。

 また、ほかの早生種からの転換の時も、ふさおとめは特に収穫期が早いので、それだけ台風などの被害を受ける確率が低くなる。これも結果的には、増産につながることになる。残念ながら現在の日本では、米を増産すると、翌年の減反強化と、価格の低下を招いてしまうのである。
 もう1つは、新米価格引き下げ要因になっている、ということである。新米価格の低下はこのほかの要因も重なって起きていると考えられるが、ふさおとめなどの極早生品種が、早くから市場に出まわることで、こしひかり・ささにしきなどの美味いと言われている品種の新米が出るまでに、新米セールが一通り終わってしまうからである。

 もう少し詳しく見ると、一般に早生種は、銘柄米と比較した場合、低価格である事から、早期に低価格の新米がたくさん店頭に並ぶことで、銘柄米の価格をより高いと印象づける事になる。こうして低価格の早生種に引きずられる形で、銘柄米も下がらざるをえないという構造が発生するのである。