アメリカビーバー

引っ張り出したビーバーの歯根。大部分

前回のシロフクロウは鬱展開だったので、スルーしましたが、ビーバーはすごい。今回のテーマはニューヨーク州のアディロンダック州立公園(四国よりも広い!)にすむアメリカビーバー。こいつ等が作るダムは高さ2m、長さ数百mにも及ぶ。せき止められてできた池は、なんと地図にも載るとのこと。
実はこのビーバー、帽子の材料にするため乱獲され、アディロンダック周辺では19世紀に一度絶滅。しかし、この地域でビーバーを復活させようと、20世紀初頭に西部から7つがいを持ってきました。それが今では一万匹以上。先週のレミングもそうですが、げっ歯類の繁殖力すごい。
ビーバーは主に水中で活動しているため、水かきがあり、尻尾は平べったくなって泳ぐのに都合が良くなっている。泳ぎのうまさは100mを40秒で泳げるほど。また、股に脂を出す突起があり、それを一平方㎝あたり2万本もある体毛に塗り込めることで、水が皮膚にまで到達するのを防いでいるそうだ。もふもふ。
食べ物は葉っぱや小枝、木の皮。一日に2kgも食べてしまう。ビーバーは陸上での動きが鈍く、コヨーテなどに襲われる心配があるため、木を削り倒して水中まで運んでから木の皮を食べる。木を倒す方が時間がかかりそうで襲われやすいと思うけど、直径10cm程度の木なら、なんと数分で削り倒してしまう。
すばやく削れる秘密は歯にある。歯には唇側の固い部分(エナメル質)と舌側のやわらかい部分(象牙質)があり、その磨り減り具合の違いで常に鋭く保たれているのだ。磨り減りながら鋭さを保つビーバーの歯は、常に伸びており、何もしないと一年間で12cm(人間の髪と同じぐらい!!)も伸びてしまうそうだ。(画像はビーバーの非常に長い歯根を顎骨から引っ張り出しているところ。実際の歯は顎骨から2cmぐらいしか露出していない。)
ビーバーはダムを巣の防衛と行動範囲を増やす目的で複数個作る。2歳児までは家族とすごし、みんなでダム作りや補修を行って暮らしているのだ。高度な社会性を持ったシロアリとかハキリアリもすごいことをするけど、周りの環境を一変させてしまうビーバーもすごいね。ダム作りは本能らしいし。ダムによって水没した森林は、ダム池>湿地>草原>川沿いの森林というふうに、長い時間をかけて変化していく。環境を一変させても元に戻るあたり、正しい焼畑農業に似ているなあと思った。あと、ビーバーの縄張りは里山っぽい。そんな感じでーす。