http://www.eetimes.jp/contents/200703/15843_1_20070319182503.cfm  「液晶を超えるディスプレイ技術」、
米UniPixel社が新手法を開発中 (2007/03/19)

 米国の市場調査会社であるInsight Media社でシニア・アナリストを務めるKen Werner氏は、「新しいディスプレイ技術の多くは、分かりやすい実質的な付加価値を一般消費者に提供できていない。しかしUniPixel Displays社の新技術は液晶パネルに比べて、はるかに安価なコストで実現できることは間違いないようだ」指摘する。
 しかしその一方で同氏は、製品化への道のりは決して平たんではないことも指摘する。さらに、「確かに同社独自のサンドイッチ構造は、ロール・ツー・ロール方式で製造できる。このことは大きなプラス要素だ。しかし、製造の安定性やコストについては、まだ不透明な部分も多い。しかも、こうした不透明な部分に対する同社の回答が理にかなっていたとしても、新技術を適用したディスプレイを電子機器メーカーが採用に同意し、市場に投入するまでには、かなり長い時間が必要になる。私は、ディスプレイ技術に対して「20年ルール」を唱えている。すなわち、コンセプトの誕生から量産までを、20年以内で達成したディスプレイ技術はいまだかつて存在していない」と同氏はコメントした。
 このほか同氏は、米Clairvoyante社の「PenTile RGBW」と米Qualcomm社が買収した米Iridigm Display社の「iMOD」という2つの新ディスプレイ技術も、いまだに量産には至っていない事実に言及した。「米E Ink社と米SiPix Imaging社が開発したエレクトロクロミック技術は、その開発と普及活動に長い月日を費やして、やっと2006年に量産にこぎつけた。アクティブ・マトリクス駆動の有機ELパネルは、今まさに量産が立ち上がろうとしているところだ」(同氏)。

 従来のディスプレイ技術は、狭い間隔に並べたR(赤)とG(緑)、B(青)の画素が光を放出することで、これらの色が人間の目には混じり合って見える「空間的加色法(Spatial Additive Color)」を採用していた。一方、UniPixel Displays社のTMOS技術は、「時間分割加色法(Temporal Additive Color)」を使う。この加色法では、1つの画素において赤と緑、青の光が短時間で点滅するため、人間の目には混ざり合って単一の色として見える。赤や緑、青の光の点灯時間を調整することで、さまざまな色相や階調を表示できる。
 Killion氏によると、基板上に設ける層の数がPDPでは15層、液晶パネルでは30層が必要なのに対して、TMOS技術ではわずか6層で済むという、製造時の工程数についても、液晶パネルには128工程も掛かるのに対して、TMOS技術では12工程しか必要ないと主張する。
 赤と緑、青の光は、ディスプレイの端部から入射し、導光板を介して全面に広がる。同社はこの技術を「Frustrated Total Internal Reflection」と呼ぶ。赤と緑、青の光が順次点灯するカラー・サイクルの時間は一定で、その周期速度は極めて高い。ディスプレイの端部から入射した光は、反対側のミラーで散乱反射され、ディスプレイ表面の明るさが一定になるように広がる。さらに導光板を構成する材料が光の漏れを防ぐため、内部反射を使ってすべての入射光をディスプレイ表面から出力できるわけだ。
 導光板の上には、構造が簡単なレンズ/シャッタが取り付けられている。これは、2枚の透明な導電体でマイクロレンズと絶縁層を挟み込んだものだ(サンドイッチ構造)。画素を構成する2つの透明導電体を逆の極性に帯電させると、引力が発生する。この結果、絶縁層を介してマイクロレンズが絞り込まれるという。シャッタの開閉時間は帯電量で制御できる。この開閉時間で、表示する色の強度を決定する。

時間分割の方法って東芝あたりがやってたような希ガス