タイトルに関連して。

紛らわしいタイトルですみませんということで、実験しましたよ。

水の入ったコップの上に紙を乗せてひっくり返しても水がこぼれないという実験の画像です。
コップの上のほうに気泡があるから、画像を反転させているわけではないですよw。

せっかくだから、ネタ的に計算してみましょう。
計算しやすいように、十分堅牢な円筒形のコップだと仮定しておきましょう。。
水が落ちないように働くのは、大気圧と水の表面張力。

SP+C\Gamma>Mg
であれば、水は落ちてこないので、

f_{(h,r)}=(P-{\rho}gh)r+2\Gamma>0
この式を満たすコップの半径rとコップの深さhなら大丈夫です。
室温だと、\rhoは約1000kg/m^3\Gammaは約72mN/m*1面倒なのでgも約10N/s^2とすると、
f_{(h,r)}=(10-h)r\times10^4+0.144>0 (N/m)
となります。
実験で使ったr=0.04mのコップだと、というか半径にはほとんど関係なく10m程度の深さのコップまで大丈夫です。
力に関しては、次のようになります。
F=SP+C\Gamma
F=502.65+0.02N
表面張力による寄与は0.04%程度で、ほとんど大気圧で支えられていますね。余った力は、コップや紙や水が打ち消してつりあいます。500N超ということは、およそ50kgの重さを支えることができてしまいます(その前に、紙やコップが壊れそうだけど・・・)。


しかしこれは、完全に静止した状態の妄想で、実際の実験では、局所的に釣り合いが破れてしまいますし、どうしても動いてしまいます。コップの抗力は、水の重心に上向きの力を直接及ぼすことはできないので、空気と水が仕事*2をしなくてはなりません。このときに空気と水が発揮できる仕事率と系が持つ変動を許容できるゆとりが実験の成否を分けているとおもいます。

(´-`).。oO(ひっくり返して静止した状態から始まる紙なしのシミュレーションの結果が見たいな・・・。)

(´-`).。oO(紙がなくても水が落ちてこない気もするし、落ちてくる気もするんだよな・・・。)

(´-`).。oO(紙を通して平均化されて伝わる「圧力」ではなくて、界面で起きる気体分子と水分子の衝突と、水分子の相互作用が、コップの水を支えられるかどうかということなのかな?)

〜2007年1月16日追記〜
大気圧P=100000Paとしてます。
また、室温での水の飽和蒸気圧分(約3200Pa)も大気圧から引かれるべきでしょう。


掃除機の性能は、最低到達圧力ではなく仕事率で表されています。
これは、大気圧との差から吸い込める最大の断面あたりの重量を知るよりは*3
どれだけすばやく、大量の空気やごみ等の質量を吸い込めるかのほうが実際の掃除には重要なため。
もし、大気や水が、超がんばり屋で、掃除機と同じぐらいの仕事率で働けるなら、
相当無茶な実験をしても水はこぼれないことでしょう。
〜〜

*1:水の表面張力や界面張力は汚染の影響を受けて弱くなりやすいので、このような高い値で実験できるということはなかなかないと思います。

*2:多分温度が下がっているんだろうな。

*3:最大で10mの水柱に匹敵するような重いごみはないし。まあ、実際には掃除機は大気圧をフルに利用しているわけではないのですが。到達圧力はそんなに低くないと思います。