「所得」の黒字が貿易黒字を逆転 上半期の国際収支 (朝日新聞) - goo ニュース

財務省が14日発表した05年度上半期(4〜9月)の国際収支によると、所得収支の黒字が貿易黒字を上回った。85年の統計開始以来、半期ベースで初めて。所得収支は海外子会社からの収益や保有する外国証券の利子・配当などで、日本が「貿易立国」から「投資大国」へと変わりつつあることを示している。

 所得収支の黒字は、前年同期比23.7%増の5兆7224億円。一方、貿易黒字は、原油価格高騰で輸入が増えたため、30.8%減の4兆9271億円に落ち込んだ。

 所得収支の黒字が前年同期を上回ったのは5半期連続。内訳は、海外での工場建設など直接投資に伴う黒字が1兆2621億円、株式や債券など証券投資の黒字が4兆2385億円。日本企業が長年の貿易黒字で積み上げた資本を海外に投資してきた結果、その成果が着実に拡大している。

 一方、貿易収支は輸出入とも半期ベースで過去最高だったが、輸出が前年同期比5.9%増の30兆9640億円、輸入は同17.7%増の26兆368億円で、黒字幅が縮小した。原油価格が平均1バレル=53.07ドルと、前年同期より4割余り上がって過去最高だったため、輸入が大幅に増えた。

 所得収支と貿易収支に加え、輸送や旅行部門などのサービス収支を含めた経常収支は、黒字が同5.8%減の8兆8185億円にとどまり、2半期続けて黒字幅が縮小。旅行収支が愛知万博効果で改善し、サービス収支の赤字幅は縮小した。

 同時に発表された9月の国際収支は、経常収支の黒字が前年同月比6.5%増の1兆8582億円で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。貿易黒字が20.4%減の1兆1117億円で11カ月連続の前年割れだった一方、所得収支の黒字は33.5%増の1兆132億円だった。